研究組織
紹介Research organization introduction
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A01班: ミルクオリゴ糖の合成を基盤とした腸内糖鎖ダイアローグ研究の展開
藤田盛久
Morihisa Fujita
所属 | 東海国立大学機構 岐阜大学 糖鎖生命コア研究所 |
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職位 | 教授 |
researchmap | https://researchmap.jp/mori-fujita |
研究室website | https://www1.gifu-u.ac.jp/~mfujita/index.html |
私の腸活
(研究編) 糖鎖とは、ブドウ糖のような糖がいくつも鎖のようにつながった分子です。私達は、そんな糖鎖が細胞でどのように作られ、運ばれ、機能して、最終的に分解されるのか、そんな「糖鎖の一生」に興味をもって研究を行っています。今回の学術変革領域で、私達は腸内で大事な役割を果たす糖鎖「ヒトミルクオリゴ糖(HMOs)」や「ムチン型糖鎖」に注目して、研究を進めていきます。特に、HMOsは母乳に含まれる成分であり、腸内細菌のエサとなり、腸内フローラ(細菌叢)の形成や維持に大事な役割があったり、私達の細胞を刺激することで、バリア機能や免疫機能を調節してくれています。腸管の内側に作られる粘液層にあるムチン型糖鎖も、バリア機能の他に、有用な腸内細菌を維持するのに大切な役割を担っています。HMOsは、乳腺の上皮細胞で作られますが、まだどのようにして作られるのかに不明な点が多く残っています。またムチン型糖鎖とも構造が似ている部分があり、乳腺と腸管で糖鎖が作られる過程にも類似する部分があるかもしれません。こうした糖鎖の生合成に関わる遺伝子や酵素を調べていき、細胞でHMOsを作ること、HMOsの腸管での役割を明らかにすることを研究課題として取り組みます。
(食事編) いろいろな発酵食品を試したり、根菜をよく食べるように心がけています。

A01班: ミルクオリゴ糖の合成を基盤とした腸内糖鎖ダイアローグ研究の展開
今村彰宏
Akihiro Imamura
所属 | 東海国立大学機構 岐阜大学 応用生物科学部 |
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職位 | 教授 |
researchmap | https://researchmap.jp/aimamura |
研究室website | https://www1.gifu-u.ac.jp/~kassei1 |
私の腸活
私たちの腸内では、糖鎖と呼ばれる生体分子が私たちの健康を維持するために重要な働きをしています。しかし、分子レベルで見ると、そのメカニズムはまだよく分かっていません。そこで私は、腸内で活躍する糖鎖分子を人工的に作り(化学合成し)、糖鎖と腸内細菌や腸管細胞との相互作用を分子レベルで解明することを目指します。化学合成は、高純度かつ大量の糖鎖を作ることができるため、これまでは難しかった研究を進めることが可能になります。また、化学合成の強みの一つは、分子構造を改変した非天然分子を生み出せることです。例えば、糖鎖にラベルを付けることで体内での挙動を追跡可能にし、ヒトミルクオリゴ糖(HMOs)の代謝経路を解明できると考えています。

A02班: 腸内糖鎖による腸管恒常性維持機構の解明
奥村 龍
Ryu Okumura
所属 | 大阪大学大学院医学系研究科 免疫制御学 |
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職位 | 助教 |
researchmap | https://researchmap.jp/ryoharei301324 |
研究室website | https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/ongene |
私の腸活
私たちの腸内には、母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖(HMO)や粘液中のムチン糖鎖など、糖が鎖状につながった「糖鎖」といわれる物質が豊富に存在しています。私は、これらの腸内糖鎖が腸内細菌と相互作用し、腸の健康維持にどう関わるかを明らかにします。人工合成したHMOや糖転移酵素欠損マウスを用いて、腸内糖鎖の腸内細菌叢や免疫細胞に与える影響を多角的に解析します。さらに、質量分析イメージングにより腸内糖鎖と腸内細菌との空間的関係の可視化を目指します。以上の研究により、炎症性腸疾患や壊死性腸炎などの炎症性疾患における腸内糖鎖の予防的役割を解明します。

A03班: 病原性菌の腸内糖鎖を利用した宿主免疫回避分子メカニズムの解明
加藤紀彦
Toshihiko Katoh
所属 | 京都大学大学院生命科学研究科 |
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職位 | 准教授 |
researchmap | https://researchmap.jp/7000015969 |
研究室website | https://www.bunshioutou.lif.kyoto-u.ac.jp/Home.html |
私の腸活
食事面:
ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸産生菌を増やすために、大豆製品や根菜類(ごぼう、イモ類)、キノコ類など、食物繊維を豊富に含む食品を積極的に摂るよう心がけています。
研究面:
これまで私は、ビフィズス菌をはじめとする腸内細菌が、腸管という限られた環境下でどのようにエネルギーを獲得し生存を維持しているのか、その謎を解明するために、微生物の分子メカニズムを研究してきました。特に、宿主が腸管から分泌するムチン糖タンパク質の糖鎖や、母乳に含まれるオリゴ糖(HMO)が腸内細菌にどのように利用されるのか、その代謝経路に着目してきました。しかし、ムチン糖鎖やHMOには、単なる腸内細菌の栄養源としての役割を超えた、より広い生理的機能があるのではないかと考えています。
本研究では、これら「腸内糖鎖」と病原性菌の相互作用に着目し、病原性菌が「腸内糖鎖」を利用して宿主免疫を回避するメカニズム、そして一方で宿主が「腸内糖鎖」を利用して病原性菌の増殖を抑えるメカニズムの解明を目指します。本研究が、疾患の新たな治療法の開発につながることを期待しています。

A04班: 腸内糖鎖資化性細菌由来低分子代謝物による他臓器、腫瘍幹細胞の機能制御解明
服部鮎奈
Ayuna Hattori
所属 | 京都大学 医生物学研究所 |
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職位 | 准教授 |
researchmap | https://researchmap.jp/ayh |
研究室website | https://cellfate.infront.kyoto-u.ac.jp/ |
私の腸活
がん細胞は、正常な細胞とは異なる代謝経路を活用し、エネルギーを生み出したり、脂質・核酸・アミノ酸を合成したりすることで、がん組織を維持・増殖させます。これまで、がん細胞の栄養源の多くは食事から得られると考えられていましたが、近年の研究で、腸内にいる細菌ががんに必要な代謝物を供給している可能性が明らかになってきました。特に、アミノ酸はがん細胞の成長に不可欠であり、腸内細菌がその合成や分解に関与することで、がんの進行に影響を与えることが示唆されています。私は、このアミノ酸代謝の仕組みに注目し、がん細胞とその周囲の微小環境、さらには腸内細菌との間でアミノ酸がどのようにやり取りされ、がんの進展に関わるのかを解明することを目指しています。この研究を通じて、がんの新たな治療法や予防戦略につながる知見を得ることができればと考えています。
領域アドバイザー
浦島 匡Tadasu Urashima
帯広畜産大学 畜産学部 名誉教授
片山 高嶺Takane Katayama
京都大学 生命科学研究科 教授
竹田 潔Kiyoshi Takeda
大阪大学 大学院医学系研究科 教授